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ざわめき [human]

今年の初夏はホタルをよく見ました。
あるプライベートパーティーで氷のキャンドルに灯を燈した後、皆でそのままホタルの群生する清流沿いを歩きに出かけると、真っ暗な夜空に向かってそびえる木々の中に、無数の光、光、光。世の中にこんなにもたくさんのホタルがいるのか、とため息を漏らさずにはいられませんでした。
去年の夏はもっと、クリスマスツリー状態だったよ、と引率してくれた方が言ってみえたけれど。
たくさんの窓があって、その窓の外に手を伸ばす者がいて、その窓の内側でほほ笑みを絶やさず時を過ごすことの出来る者がいて。
必要に応じて、あるいはその時々の気分や情緒の動きに素直になって窓を開け閉めすれば、彼らも呼吸をぴったりと合わせるように。
ホタルの群れはある時には同時に、まったく完全なる一定のリズムで点滅していました。
リムスキー・コルサコフのシェエラザードの印象的なヴァイオリン・ソロの旋律を思い起こすような、心の奥深くをめぐる静かなざわめき。
‘寂境に入る’永遠の時間を求めて、ざわめく海原の波打ち際に立つと、朝焼けの彩る透き通った空の色。
果てしないアジアの東の最果て、無数の窓の奥底、どこそことなく乱舞を繰り返しているのです。

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一輪挿しに立てられた紫陽花を見て、なぜかほっと息をつく。
こちらが工房ですよ、と招かれるままに古く懐かしい家屋に入ると、やはり鮮やかな外の世界を映し出す「窓」がありました。
緑が、みずみずしい命の輝きに満ちた緑の光が身体を包み込みます。そんな窓がここにも見つかりました。
テーブルを囲んで居合わせた一人のピーターパンが、持ち歩いているヴィオラでバッハを奏でています。
僕は紫陽花の立てられた一輪挿しをテーブルに戻し、窓の外の雨つぶと、目の前のピーターパンの歩み行く未来と、隣りで至福の酔いにひたる工房の主人に、乾杯をしました。
その高きことは天のごとし、汝なにをなしえんや。
その深きことは陰府のごとし、汝なにを知りえんや。

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